前回は情報カード的な使い方ができる「CorkBoard」の機能を紹介しました。
Scrivenerのメインカラムは、通常のテキストビューである「Scrivenings」とその「CorkBoard」に加え、「Outline」のビューも存在しています。
「Outline」はその名が示すとおり、アウトライナーなビューです。今回はその「Outline」について紹介してみましょう。
Scrivener
カテゴリ: 仕事効率化, 教育
販売元: Literature & Latte – Literature & Latte Ltd
リリース日: 2011/07/06
そもそもアウトライナーって?
「Outline」はアウトライナー機能です。
パソコンを使って文章を書く人(それも長めの文章を書く人)ならば、お馴染みのツール(かもしれない)「アウトライナー」。ハイブリッド発想術でも少し紹介しましたが、文章の構造を操作するのに大変便利なツールです。大がかりな文章を構成するには欠かせない、と言ってもよいかもしれません。
エディタは文章を入力するために使うツールですが、アウトライナーは見出しや概要を入力し、順番を入れ替えて、話に流れを持たせたり、欠落や過剰な要素を発見したり、といった使い方ができます。
Scrivenerそのものはアウトライナーアプリではありませんが、「Outline」ビューを使ってアウトライナーと似たような機能を使うことができます。
真のアウトライナーとは?
さて、Scrivenerに付いている「Outline」は、真のアウトライナーなのか?、と唐突な疑問を投げかけてみましょう。
「真のアウトライナーとは何なのか?」については、以下のブログ記事を参照ください。
私的「真のアウトライナー」 (Happy Outlining !)
記事中で提示されている4つの条件を引用させてもらいます。
条件1 アウトライナーの基本機能を満たしていること
条件2 1ペイン方式であること
条件3 「本文」と「見出し」を区別しないこと
条件4 ホイスト機能がついていること
条件1 アウトライナーの基本機能を満たしていること
アウトライナーの基本条件は別に定義されていて、
「アウトライン表示の機能」
「アウトラインを折りたたむ機能」
「アウトラインを入れ替える機能」
の3つです。
Scrivenerの「Outline」はこの3つを満たしています。
条件2 1ペイン方式であること
Scrivenerそのものは1ペインではありませんが、「Outline」ビュー自体は1ペインです。
ただし、「本文テキストも全て1つのウィンドウの中に表示する方式」ではありません。タイトルとSynopsisは表示されますが、本文は表示されません。しかし、Synopsisに本文を突っ込む、という荒技を使えば、「Outline」に本文を表示させることもできます。
完璧ではないが、そこそこ満たしている、というところでしょうか。
条件3 「本文」と「見出し」を区別しないこと
タイトル、という概念が存在する以上、これは区別されています。タイトルに長文を入れることも可能ですが、あまり想定された使い方ではないでしょう。
よってこれはきちんとは満たしているとはいえません。
条件4 ホイスト機能がついていること
「ホイストとはなんぞや?」については、引用記事を直接ご覧いただくとして、この機能は付いています。といっても、「Outline」ビューではなく、左サイドバーの「Binder」でフォーカスを変える、という操作になりますが、意図した結果は得られるでしょう。
というわけで、100%純然たる「真のアウトライナー」とは言えませんが、アウトラインの基本条件は満たしていますし、ある程度は「真のアウトライナー」に近い位置づけにあるとはいえそうです。
Scrivenerの「Outline」をどう使う?
で、この「Outline」はどう使うのか。
基本的に、「まず、アウトラインを作成して、その後に文章を入れていく」という使い方には、あまり向いていない気がします。
むしろ、その逆が良いかもしれません。
「Scrivenings」ビューで、一つのテキストにざらっと思いつくことを書いていき、その後、切れ目となりそうなところでメニューから「Split with Selection as Title」を選択し、テキストを分離。それを最後まで繰り返した後で、「Outline」ビューで、構成を整える、という使い方です。
さいごに
「Outline」の使い方は、必然的にアウトライナーを使った文章の書き方の話になってきます。が、これはこれで一つのテーマになるぐらい大きな要素です。
というわけで、今回は簡単に紹介しました。
実は「Outline」はタイトルとSynopsis以外にもキーワードや進捗度合いを表示させることができ、全体の「タスク管理」的にも使うことができます。そういう使い方もありでしょう。
なにせ多機能なアプリなのです。
▼こんな一冊も:
Evernoteとアナログノートによる ハイブリッド発想術 (デジタル仕事術) |
|
![]() |
倉下 忠憲
技術評論社 2012-06-30 |
コメントを残す