3-叛逆の仕事術 7-本の紹介

【書評】スタンフォードの自分を変える教室(ケリー・マクゴニガル)

正直、かなりうさんくさいタイトルだと思った。「自分を変える」とか「本当の自分」という言葉をみると、本能的に眉をひそめてしまうのだ。

それに表紙をめくれば、「自分の潜在能力を確実に引き出す本」を大々的に謳われている。ほら、もうイエローシグナルだ。何だよ、潜在能力って、と思いながら、とりあえず目次までたどり着く。曲がりなりにもスタンフォードだ。安易な判断はいけない。

もちろん、その判断こそが安易じゃないのか、という内的ツッコミが湧き上がるが、それを必死に押さえつつ目次を眺めると、ん?。案外悪くない雰囲気だ。章題もなかなかよい。「罪のライセンス」「将来を売りとばす」「感染した!」・・・。きっとあの手のことが書いてあるのだな、と推測が付く。

じゃあまあ、売れているみたいだし、ちょっと読んでみますか。

スタンフォードの自分を変える教室
スタンフォードの自分を変える教室 ケリー・マクゴニガル 神崎 朗子

大和書房 2012-10-20
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概要

「introduction」によると、本書はスタンフォード大学生生涯教育プログラムの公開講座である「意志力の科学」がベースなっているらしい。

「意志力の科学」も少々危うい響きがあるが、本書で掲げられているのは「脳に眠る95%の使われていない力を開花させる」といったものではない。

自己コントールに関する知見をまとめ、それを実際の生活で活かしていくための戦略が紹介されている。感じでいうと、チップハース・ダンハース共著の『スイッチ!』に近いが、それよりももっと個人の生活にフィットした内容になっている。

本書の言葉を借りて、その内容をぐぐっとまとめると、

  • 意志力の特徴と限界を知る
  • 簡単な実践で意志力の感覚を掴む
  • 意志力をアップさせるエクササイズを行う

となるだろう。

私が面白いと思ったのは、3点目である。つまり、「意志力」の底上げを図っている点だ。

意志力は限られた資源であり、それをなるべく使わないで一日を進められるようにしよう、というアプローチも合理的ではあるが、個人的には「それって、もっと増やせないの?」というのが気になる。

意志力(あるいはやる気)が脳から提供されており、脳に可塑性があるのならば、きっと意志力の底上げは可能である。

もちろん、これは好みの問題だ。私は経験値をためてレベルを上げていく、という感覚が好きだし、そういう行為であればちょっとやってみようか、という気になりやすい。本書の講義を受けた多くの人が、感動したというのも多少そういう面があったのかもしれない。自分の力が増える(自分がコントロールできる領域が広がる)というのは、権力者だけが好むものではないのだ。

ともかく、自制心を要する小さな行為を継続して行っていると、意志力がアップするという話は、大変興味深かった。なるほど、と腑に落ちる事例は見渡すといろいろな所に見受けられそうだ。

さいごに

数ある自己啓発系の本と同様に、本書の内容も自分で実践してみて初めて効果が生まれるものである。

が、それはそれとして、知識として重要な部分も確かにある。一文だけ引用すれば、次の文がそうだ。

自己コントロールを強化するには、まず自己認識力を高める必要があります。

この知見の有無だけでも、人生に大きな違いが生まれるだろう。

フィードバックがないところに、適切なコントロール(もっと言えば、マネジメント)は存在しえない。ログがもたらす最大の効用は、きっとこの辺に潜んでいるのだろう。

▼こんな一冊も:

スイッチ!
スイッチ! チップ・ハース ダン・ハース 千葉敏生

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