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電子書籍についてのあれこれ(5) 信頼を担保するもの

Posted on 2013 年 2 月 27 日2019 年 6 月 23 日 by Rashita
Tag:
  • 「本」の未来
  • ,
  • 電子書籍

前回:電子書籍についてのあれこれ(4) KDP本とブログと紙の本

たとえば、紙の本の場合。それが出版社から発売されていれば、内容に一定レベルの質が担保されていると考えることができる。

本当に、その質が確かなものと言えるかはわからないが、平均的に「かなりヤバい」というコンテンツにぶつかることは少なくなる。この場合の質とは、内容の面白さだけではなく、読みやすさへの配慮や、誤字脱字の修正、事実関係の確認なども含まれている。

こう考えてみよう。

私たちがコーヒーショップに入って、コーヒーをオーダーするとき、「コーヒーの豆を原料とする適度な熱さを持った飲料」が出てくることを信頼している。もしかしたらひどいショップもあるかもしれないし、あるいは思っていたよりも美味しくないことは十分にありえる。

しかし、それは実際に飲んでみてわかることで、注文をする瞬間は信頼感がそこに存在している。でなければ、人はコーヒーショップに入ったりはしない。

出版社というビジネスの主体が、その事業の中で出す「紙の本」は、その事業が長期的に継続しているという事実によって、一定の信頼感を生み出す。

さらにその信頼感には、ある種の傾向が生まれることもある。

「内容はわからないけれども、この出版社の本だからちょっと読んでみよう」

ということはあり得るだろう。もちろん、その逆も十分にあり得る。

では、個人が出版する電子書籍ではどうだろうか。

名も無きコンテンツ

すでに信頼感を獲得している人ならば問題はない。そういう人が出す本は、少なくとも購入判断の対象になるだろう。

が、新規参入者はどうだろうか。

かなり難しいと言わざるを得ない。

名も無き人の名も無きコンテンツは、近寄りがたいものだ。特に、情報という具体的な価値を見定めにくいものほど、不確かさは高まる。さらに言えば、現代では人生の全てを無料コンテンツの消費に当てても消費し尽くすことはできない。なぜ、そんな不確かなものにお金を支払わなければならないのか。

だから、「いかに目を引くコンテンツを作れるか」という方向にシフトしていく、というのが一つのアプローチだろう。

信頼感をパスする

しかし、「話題に乗っかるのにちょっと」という人もいるだろう。

そういう人__確立した信頼感もなく、話題に乗っかるのも忌避する__の電子書籍はまったく読まれないのだろうか。

可能性が無いわけではない。

一つはレビュアーの存在だ。

電子書籍をたくさん読んで、その中から気に入ったものを紹介する人。それがレビュアーだ。そういう人たちは、専門的に電子書籍を読むことになる。自分の読みたい本に限らず、雑多な本に手を出し、そこに評価を加えていく。そういう人が高評価を与えた本であれば、その他の人にも読まれる可能性が出てくる。

信頼感という点で見れば、書き手の信頼感の不在をレビュアーの信頼感が埋めているということになる。

個をまとめるもの

もう一つ、別のアプローチもある。

レーベルだ。

レーベルにもいろいろな意味があるが、ある種のブランドイメージとニアリーリコールで考えてもらえればよい。

個人の電子書籍におけるレーベルの作り方は、さまざま考えられる。

一番分かりやすいのは、個人の書き手を集合させることだ。その集合が、個々の書き手の「この人となら組める」という信頼感で結び付いていれば、ある人への信頼感が別の人の信頼感へとバイパスしていく。それが積み重なれば、その集団自体への信頼感を生み出すことになるだろう。

あるいは、フォーマット・世界観の統一という手法もある。

実用書であれば、「説明A、B、Cと段階を踏んでいき、説明Aはこれこれこういう要素を入れる」というテンプレートを作り、それを元に個々の書き手が自分なりのコンテンツを作っていく。紙の本でいえば「〜〜シリーズ」的な位置づけになるだろう。これは、本から本へのパイプラインを生み出す。

小説であれば、共通の世界観をベースに、個々の書き手が自分なりのストーリーを描いていくという手法もあるだろう。書き手は必ずしもゼロから世界を構築していく必要はない。誰かの作った(そして、十分な広さのある)庭で遊ぶこともできる。

こうしたレーベルは、

  • 共通のブランドネーム(出版社・文庫・新書の名前のようなもの)
  • 共通のタイトル(〜〜シリーズ)
  • 似通った表紙デザイン

という要素で、そのレーベル感を出していくことが可能になるだろう。

さいごに

個人でできる出版だからといって、必ずしも個人で動かなければならないわけではない。

個人は個人として独立したまま、それぞれの力に一定の方向性をあたえ、何かしらの集合体を生み出すこともできる。

何度も書いていることだが、個人が出版するからといって、「出版社」が担っていた機能がまるっと必要なくなるわけではない。「なくても出せる」というのは「まったく必要ではない」とイコールではないのだ。

ただ、紙の本と同じ規模・レベル・速度・質でそれらを担保することは、コスト的に難しいかもしれない。しかし、何かしらの代替を考えることはできるだろう。

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