読み上げ機能を使った校正、という概念があることを小耳に挟んだ。
ようは原稿をチェックするときに「読む」のではなく、「聞く」ことで内容を確認するということだ。視覚的認知はかなり脳内で補正されており、間違いに気がつきにくいことがある。その点、「聞く」ならば誤字脱字を発見しやすい。視覚的に「め」と「ぬ」は見間違えやすいが、「ぬりけんこ」と発声されれば間違いに気づかざるを得ない。
もちろん、「聞く」校正の場合、同音異義な言葉の漢字間違いなどは区別できない。同音意義と書いてあっても、耳ではごく普通に聞こえる、ということだ。
とりあえず、校正の手法は複数持っておいた方が良いことは確かである。一度試してみる価値はありそうだ。
Mac標準機能でやってみる
実は、MacOSには標準でテキスト読み上げ機能が付いている。
しかし、基本的には英語である。
が、実は設定でこれを日本語に変更することも可能だ。
「システム環境設定」→「音声入力と読み上げ」から「日本語:kyoko」を選択すればよい。
最初はデータのダウンロードが必要であるが、それを済ませれば次回以降は普通に使える。
Kyokoさんの実力は?
では、実際に試してみよう。
読み上げたいテキストを選択し、「スピーチ」から「読み上げを開始」をクリック。
※この項目がないアプリもあるので注意。今回はEvernoteから実行。
実際の風景は、以下の動画をご覧あれ。
どうだろうか。テキパキとは読んでくれているが、イントネーションがたまに辛いところもある。あと、漢字の読み方も微妙な部分もある。
が、とりあえず「ぬりけんこ」の間違いはすぐにわかった。これはこれで一つの成果であろう。
実際、自分で書いた本の原稿でやってみたのだが、なかなか面白い。「読書術」を「どくしょすべ」と読んでくれるあたりもチャーミングだ。本格的な読み上げソフトを導入すれば、わりと便利に使えるのではないかと思う。
ただし、あくまで複数の校正手段の一つであることは留意しておく必要がありそうだ。
▼かみんぐ・すーん
ソーシャル時代のハイブリッド読書術 |
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倉下 忠憲
シーアンドアール研究所 2013-03-26 |