二つの島

二つの島があった。そう遠くもなく、そう近くもない。そんな二つの島があった。 それぞれの島には、それぞれの住民がいた。そこには似ていながらも、確固とした固有の文化が育っていた。 住民たちは、自分たちの島で生活しながら、たま

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門の開いた町

 その町の門は開いていた。  大きな門ではない。それでも城壁の所々には人が行き来できる空間があった。  あまり大きくない門と同じように、その町も大きくはなかった。こぢんまりとではないせよ、中央都市とは比べものにはならない

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動く歩道

ウィーン。ウィーン。 「やっぱり、動く歩道は楽だね」 「なにせ、まったく歩かなくていい」 「楽チンは正義」 「おっ、なんか門が見えてきた」 「だいじょぶじょぶ。こうして乗っておけば、自動的にくぐり抜けてくれるよ」 「だね

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解毒剤

「博士、ついに完成しましたね」 「うむ。これで多発性認識偏向症を克服できる」  さっそく博士と助手は、いくつかの試験を行い、効果と安全性を確認した上で、<解毒剤>として大々的に発売した。博士は研究一筋ではあったものの、研

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真・嘘発見器

「博士、ついに完成しましたね」 「うむ。まったく新しい嘘発見器だ。いや、嘘感知器と呼んだ方いいかもしれない」 さっそく助手が完成したばかりの装置を身につける。腕時計とヘヤーバンドのような二つ装置は、同じタイミングでほのか

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Progress

もともと人気(ひとけ)の少ない公園だけども、斉藤さんと話しているときはその傾向が強まるようだった。僕ら以外には、誰もいない。 「その時、気がついたんだ。すべてが色あせているって」 珍しく斉藤さんが身の上話をしていた。 「

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